絵は写真でもAIでもなく、座標でできている
もとになる場面は19種類あります。教室・商店街・海辺・お花見・ひなまつり・夏祭り・こたつ・節分・紅葉・昔のくらしなどで、どれも丸・四角・多角形・線の座標データとして書いてあります。写真を加工したものでも、画像生成AIに描かせたものでもありません。
1つの場面に入っている部品の数は42個から82個です。人・建物・道具・草木などが、それぞれ独立した図形として並んでいます。部品が1つずつ独立していることが、この作り方の前提です。 絵が1枚の画像だったら、その中の湯のみだけを消したり少し動かしたりはできません。
変え方は5つだけ
2枚目の絵は、1枚目に次の5つの操作を入れて作ります。
- なくなっている — 片方の絵から部品を1つ消す
- 色がちがう — 同じ部品の濃さを変える
- 位置がちがう — 同じ部品を少しずらす
- 大きさがちがう — 同じ部品を拡大・縮小する
- 向きが逆 — 同じ部品を左右反転する
やさしい版はこのうち3つ、ふつう版は4つ、むずかしい版は5つを使います。むずかしい版だけに「向きが逆」が入るのは、向きの違いが輪郭の大きさを変えないので、形を覚えてから見比べないと気づけないためです。

上は配っている「やさしい」の1枚目です。上下の絵はどちらも同じ座標データから描いていて、下の絵にだけプログラムが5か所の変更を入れています。
答えの丸は、人が描いていない
ここがこの作り方の核心です。
プログラムが部品を1つ変えるとき、変える前の外接矩形と変えた後の外接矩形を合わせた範囲を、その場で記録します。これがそのまま解答の丸囲みになります。2枚を見比べて人が丸を描いているのではなく、動かした側が「どこを動かしたか」を答えとして持っているので、主観の入る余地がありません。
位置をずらした場合に、動く前と動いた後の両方を囲むのもこのためです。紙の上では「ここに在ったものが、ここへ動いた」の両方を指せないと、答えとして成り立ちません。
「変えたつもり」で何も変わっていない、を作らせない
左右対称な図形を左右反転する。ずらす距離をほとんど0にする。もとと同じ濃さに塗り替える。どれもデータの上では「操作した」ことになりますが、紙では1本の線も動きません。
まず、その組み合わせを最初から選ばせないようにしてあります。そのうえで、1つの違いが動かすインクの量に下限を置いています。下限が無かったころに実際に通ってしまったのが、年賀状の図形の左右反転でした。外枠が左右対称で、中の1本線だけがわずかに動くので、紙の上では31画素しか変わっていませんでした。データだけを眺めていては永久に気づけない種類の欠陥です。
ずらす距離にも下限があります。線そのものに太さがあるため、それより小さく動かすと元の線と重なって、紙の上では「線が少し太くなった」だけに見えます。
刷ってから、画素で数え直す
ここまではすべて「データが整っているか」の話です。データが完璧でも、動かした部品が別の物の陰に隠れていれば、紙の上では何も変わりません。そこで、出来上がったあとにもう一度確かめます。
- 左の絵と右の絵を、まったく同じ位置に1枚ずつ描いたPDFを作る
- それを画像にして、2枚の画素を引き算する
- 差が出た画素だけを見て、違いが何か所あるか・それぞれが丸囲みの中にあるか・丸囲みの外に違いが無いかを判定する
3つ目が特に大事です。意図しない違いが1か所でも混ざっていると、解く人は「6つ目」を見つけてしまい、答えと食い違います。
1か所の違いとして数える下限は60画素です。100dpiでおよそ3.9mm²にあたり、紙の上で「探して見つかる」大きさの下限として決めました。配る紙を描いている関数と、この検査が描く関数は同じものなので、「検査は通るが配る紙は違う」ということが起きません。
むずかしさは3つの数で決めている
「むずかしい」という札を先に貼って、それらしい問題を当てはめているのではありません。作ったあとに測った3つの数で決めています。
- 違いの数(5か所・7か所・10か所)
- 違いの大きさが絵全体に占める割合
- 使った変え方が何種類混ざっているか
実際の数字で見ると差がはっきりします。やさしい版はいちばん小さい違いでも絵全体の1.91%以上あり、30枚の平均は3.62%です。ふつう版は平均2.17%、むずかしい版は平均1.36%まで小さくなります。違いの数が倍になるだけでなく、1つずつの違いも小さくなっていきます。
丸囲みが重ならないようにしてある
解答の丸は、変わった範囲より少しだけ大きく取ります。大きく取るほど「どこが違うか」は指しやすくなりますが、湯のみが2つ並んでいるような場所では隣の丸と重なってしまいます。
ここは作って測って決めました。大きめに取った設定では、当時あった11の場面のうち10で10か所版が組めず、少し縮めてもまだ5つの場面が組めませんでした。いまの大きさは、絵の幅を150mmで刷ったときにおよそ1.7mmです。丸どうしが必ず離れているので、「どの丸がどの違いか」が紙の上で決まります。
この作り方でできないこと
正直に書いておきます。
場面の絵そのものは、写実的ではありません。座標で描いた図形の組み合わせなので、写真を使ったサイトのような細かさはありません。そのかわり、部品の1つずつを独立して動かせること、違いの大きさを数字で測れること、答えが自動で決まることを取っています。
場面は19種類しかないため、難易度の違う紙を何枚も刷ると同じ場面が出てきます。違いの数も変え方の種類も違うので別の紙として使えますが、絵そのものが毎回新しくなるわけではありません。
紙の見本と実測は各ページに載せています。高齢者向けの間違い探しや幼児向けから見てください。ほかの種類の作り方は問題・線画の作り方にまとめています。